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HRB - HiPeC Reseachers Blog

ヒロシマ大学発:平和構築連携融合事業の推進をめぐる事務局メンバーの日常

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JICAとの共催になる第31回ハイペック研究会が7月6日、東京にて開催されました。


【テーマ】「ネパールはどこへいくのか: 制憲議会解散と平和構築支援の課題」


【日時】2012年7月6日(金) 13:30 ~16:30
【場所】国際協力機構研究所 (JICA研究所)国際会議場
【ブリーフィング】吉田 修(広島大学平和構築連携融合事業 実施委員会委員長)
                            「近年のネパール情勢に関するブリーフィング」
【報告者1】別所 裕介(広島大学国際協力研究科 助教)
                「開発Channelとしての“仏教”~ヒマラヤ仏教圏から見るネパール地域社会」
【報告者2】フマユン・カビル(広島大学平和構築連携融合事業研究員)
             「リージョナリズムと民族区分~南部タライ平原から見るネパール地域社会」
【報告者3】小泉 尊聖 (独立行政法人 国際協力機構 ネパール事務所企画調査員(平和構築))
               「ポスト5.27-制憲議会解散を通じて見えてきた対ネパール平和構築支援の新たな課題」
【司会】吉田 修(広島大学国際協力研究科 教授) 
【概要】
 本セミナーでは、国際機関に所属する平和構築の専門家と、大学所属の地域研究者とが「ネパールの今後」に関してそれぞれの意見を持ち寄り、「現場の肌触り」をキーワードとする視座から、現地で真に必要とされる支援がいかにあるべきかについて議論を行った。
 最初に登壇した別所裕介は、「仏教と開発」の関係を軸に、中国資本によるネパール国土開発をけん引する「仏蹟開発推進側」と、これに反対する国内ヒマラヤ仏教徒を中核とする「反対派」との確執を整理した。そこでは、双方が王制崩壊後の仏教に対する「善きイメージ」を原資としながらも、「政治主導の開発が伝統仏教の実践を阻害する」と主張するヒマラヤ仏教徒側からのアンチテーゼ提起によって、「宗教」の社会的位置取りが改めて問われている現状が明らかにされた。
 次に、第二報告者のフマユン・カビルは、ネパール南部で勃興するマデシ集団の民族区分とアイデンティティ・ポリティクスの内的輻輳性を取り上げ、王制が去った後の連邦構想において、中央と辺境の力関係の中にマクロなマデシ意識が浮上してくる過程を丁寧にひも解くと共に、これを内側から錯綜的にかく乱するマデシ内部の細分化されたアイデンティティの具体像を、詳細な村落調査のデータに基づいて提示した。
 そして最後に登壇した小泉尊聖氏は、5月27日の制憲議会消滅までのプロセスをつぶさに目撃した経験をもとに、“大中央・中央・辺境”という氏独自の視点から、現在の制憲議会消滅後のネパールの権力空白状況と、外側に位置する“大中央”としての中国・インドの存在を統合的に見据えた上で、これまでの国際機関の支援と、5.27をふまえた可能な支援のフレームワークについて課題整理を行った。
 三者の報告終了後、「中国資本による開発の実効性」や「マデシ集団の実質的統合性」、さらに「ネパール国家論自体が内包する権力性」などの諸点に触れるフロアとの40分間に及ぶ質疑のやり取りが行われた。
 以上の全体討論から、包摂民主制と連邦制の2つのパラダイムによって統合を試みる現代ネパールが直面する困難が、①王制崩壊後の中央権力の収縮状況、②外側にいる「大中央」としての中印両国、という2つのパワーの間で揺れ動く「辺境」に現れ出ていることが示された。
 また、そのようなせめぎ合う空間としての「辺境」の胎動と連動して、これまで国家の中央部で「普遍」の側にに安住してきたかに見えたパルバテ・ヒンドゥーまでもが、「民族自治」と「連邦制」によって自らの足元を掘り崩される中で、「特殊」としての自己主張を唱え始める、まさに「万人の万人に対する闘争」とも呼べるような錯綜した事態を出来させていることが明らかとなった。そして、こうした状況において外側にいる私たちができることは、ネパール国内の果てしないアイデンティティ闘争のスパイラルをどこかで調停に向け代える側面支援としての国際援助であり、制憲議会解散後の新たな政治シーンにおいてこそ、その枠組みの創案が強く求められている、という重い事実の再認であった。

【参加人数】30名


    


 

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ピー助(Peace-Ke)
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誕生日:
2010/04/01
職業:
平和構築
趣味:
連携融合
自己紹介:
 〔ピー助〕朝の来ない闇はない。朝の来ない魚市場もない。
 〔飼い主からの一言〕ハイペック(広島大学平和構築連携融合事業)は、広島大学の基本理念である「平和を希求する精神」を具体的に追及するため、オール・ヒロシマ体制で平和構築支援の研究を推進します。マスコットキャラクターの平和構築猫「ピー助(Peace-Ke)」ともども、なにとぞよろしくお願いいたします。
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