HRB - HiPeC Reseachers Blog
ヒロシマ大学発:平和構築連携融合事業の推進をめぐる事務局メンバーの日常
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過日、駐日イラク大使をゲストのおひとりとしてお迎えした第29回ハイペック・セミナー「イラクの紛争後復興に対する国際支援とその将来の展望」が開催され、大学院生を主体とする多くの聴衆の参加を得て、成功裏に終了いたしました。おいでいただいた皆様方に感謝申し上げます。
当日は、イラクの国際復興支援に独自の観点をお持ちの二人の演者をお招きしました。
はじめの登壇者、ユニタール広島事務所所長のアレックス・メヒヤ氏は、「イラクにおける紛争後復興と能力開発」と題して発表を行いました。2003年の設立以来、8年間に及ぶ広島を舞台としたユニタール事務所の活動を紹介した上で、アフガニスタンとイラクの2国家に対する平和復興支援に向けた国連の能力開発スキームとその将来展望を、現地の実務者との直接的なふれあいの経験に基づいて話されました。
メヒヤ氏は、特にイラクに対する平和復興支援の道筋として、エンパワーメント性・信頼性・持続性・視認性という4つのキーワードを提示し、そのうえで、人的資源の管理および組織開発のキャパシティ・ビルディングを着実に進めることが、復興に向けた最良のプロセスであることを力説しました。また具体的なアプローチとして、イラクの公的機関に対して能力を発揮できる、メンター制度やコーチ制度による複合的なトレーニングシステムを取り入れていくことを紹介されました。
続いて、ルクマン・フェーリ駐日全権イラク大使が登壇され、「2003年以降のイラクの変化とビジョン」というテーマで、独裁期イラクの過酷な日々を過ごした実体験に裏付けられた意義深い議論提起を行いました。
特に、イラクの今後にとってガバナンス要因が最重要課題であることに触れ、イラクの外交政策はサダム・フセイン期の確執を超え、隣接国との関係を軸に正しいバランスを回復しなければならないこと、米国や日本といった先行する同胞との協力体制のもとでイラク人自身の目的に沿った改革を成し遂げなければならないこと、そして、今後イラクがアラブ世界において主要な役割を担えるようになるために、チームワークを最重要視し、社会改革とセキュリティ管理能力の向上に努めていくこと、などを強調されました。
最後の質疑応答の部分では、国内の組織作りを貫徹することでアメリカとの関係を改善していくこと、紛争後社会のローカルな和解と信頼の問題、真実解明の問題、といった痛みを伴う和平復興プロセスについて、イラクの伝統文化と現代的なやり方を適切にマッチングさせる形で、決して手を緩めることなく力強く推し進めていくことが語られました。大使は「イラクの人々は過去に起こったことを容易に忘却することはない」と強い面持で語るとともに、国際的な協力の輪を広げるために、そうした痛みを乗り越えて前に進んでいくことの重要性を示しました。そして日本との関係にも触れ、イラクの若い力、潜在力に満ちた国家の未来が、日本をはじめとする重要なカウンターパートとの友好関係のもとで、相互に学びあいながら進められていくことの総体的な意義をことのほか強調されました。
閉会後は、ユニタール広島事務所所長・アレックス・メヒヤ氏より、ルクマン・フェーリ大使に対して、「ユニタール・グローバル・パートナー賞」が授与されました。オリーブの葉のモティーフが美しくあしらわれた燦然と輝く黄金のメダルがフェーリ大使に手渡されると、会場内は高揚した雰囲気に包まれました。
当日お集まりいただいたみなさまのおかげで、意義深く新しい知見に満ちた、かつブリリアントな雰囲気の香る、印象深いセミナーとすることができました。あらためてご来場いただいた方々にお礼申し上げます。
そして、ライブ画像を通じて議論を聴講いただいた大阪大学国際公共政策研究科のみなさま、また、ご多用中にも関わらず、本学まで足をお運びいただいたJICA中国の西宮所長に、この場を借りまして深く感謝申し上げます。
≪以下告知案内文≫
2011年12月8日(木)14:30 - 16:30 |
【テーマ】「イラクの紛争後復興に対する国際支援とその将来の展望」
Theme: International assistance towards Iraqi post-conflict reconstruction and its future perspective
【報告1】
アレクサンダー・メヒヤ氏(ユニタール広島所長)
「イラクにおける紛争後復興と能力開発」
Presentation 1: Mr. Alexander A. Mejia(Head, UNITAR Hiroshima Office)
Theme: "Post-conflict Reconstruction and Capacity Building in Iraq"
【報告2】
ルクマン・フェーリ閣下(駐日イラク大使)
「2003年以降のイラクの変化とビジョン」
Presentation 2: H.E. Lukman Faily (Iraqi Ambassador in Japan)
Theme: "Iraq's Transformation and Vision, post 2003"
【使用言語】英語
Language: English
【司会】吉田 修(広島大学大学院国際協力研究科教授)
Moderator: Osamu Yoshida (Professor of IDEC, Hiroshima University)
*本研究会はテレビ会議システムを通じて大阪大学大学院 国際公共政策研究科へライブ中継を行います。
*This seminar performs live relay with Osaka University(OSIPP) through the video conference system.
【お問い合わせ】
Phone:
Email: hipec@hiroshima-u.ac.jp
*事前申し込みの必要はございません。 No Registration is needed.
南アジア社会を中心に基盤を広げている”社会参加型仏教”の理念と実践に関するシリーズ・セミナーの初回となります。
当日はぜひ会場へ足をお運びください。
**************
第26回学内研究会/The 26th In-House Seminar
「南アジアの宗教紛争」科研共催
下記要領にて、第26回HiPeC学内研究会「南アジア世界からエンゲイジド・ブッディズム(社会参加仏教)を考える」を開催いたします。事前申し込みは不要、一般の方もお越しいただけます。皆さまふるってご参加ください。
【概要】社会参加型の仏教として紹介されるエンゲイジド・ブッディズム(Engaged Buddhism)は、世俗化した市民社会における仏教の社会貢献の可能性として注目されている。他方、宗教ナショナリズムが台頭する南アジア世界では、しばしば市民社会における宗教の脱私事化や政治化の問題が指摘されてきた。本セミナーでは、エンゲイジド・ブッディズムの代表例として注目されているB.R.アンベードカルによる新仏教徒の運動とダライラマによるチベット仏教の運動という南アジア世界に関わる2つの事例を通して、その運動の広がりと今日の課題を考える。
【日時】2011年11月25日(金)15:00 - 17:45
【場所】広島大学国際協力研究科 1階 小会議室(東広島キャンパス)
【報告1】舟橋健太(京都大学東南アジア研究所・グローバルCOE研究員)
「B. R. アンベードカルの仏教改宗にみる「社会性」-アンベードカルの仏教解釈から現代インドの仏教運動まで」
【要旨】本報告においては、インドにおける「エンゲイジド・ブッディズム」の代表として挙げられるB. R. アンベードカルによる仏教改宗と、彼の遺志を継いで連綿と行われている「不可触民」(ダリト)による仏教運動に関して、特にその「社会性」に焦点をあてて 考察を行いたい。アンベードカルは独自の宗教概念と仏教解釈に基づき、不可触民の社会的地位の改善を志向して仏教への大改宗を率いた。その後の彼に引き続く仏教運動は、理念的にはアンベードカルの指南に沿うかたちで、しかし実際には、現実的対応からさまざまな実践形態をとりながら行われて いる。具体的な事例を紹介しながら、アンベードカルと彼以後の仏教運動にみられる「社会性」について検討を行っていく。
【報告2】別所裕介(広島大学大学院国際協力研究科助教)
「『アヒンサー』をめぐるストラグル-ナショナルなチベット人概念の形成をめぐって」
【要旨】本報告では、2008年の全チベット圏における広範な抗議活動の発生以降、「独立か自治か」をめぐって揺れ動くチベット民族問題の枢要が、「あるべき仏教実践の主体形成」をめぐるストラグルにあることを提示する。そのためにまず、民族全体の属性をある一線で固定するための指標として持ち出される「アヒンサー」の政治的含意がチベット社会の歴史的文脈の中でいかなる必然性をもっているのかを検討する。さらに、ガンディーの非暴力運動に範を取るダライラマの「アヒンサー」運動が実際社会においてどのような有効性を持ち、いかなる限界を抱えているのかについて、具体的な事例をもとに提示する。
【コメンテーター】吉田修(広島大学)
【司会】外川昌彦(広島大学)
【使用言語】日本語
【お問い合わせ/Contact】
外川昌彦/Togawa Masahiko(082-424 -6945, fakir@hiroshima-u.ac.jp)
HiPeC 事務局/HiPeC Office (082-424-6936, hipec@hiroshima-u.ac.jp)
"HiPeC International Peacebuilding Conference 2011" which titled "Peace from Disasters: Indigenous Initiatives across Communities, Countries and Continents" was completed with fluitrul result on September 18th-19th.
We deeply appreciate to all speakers and participants. Moreover, We also thanks to many audiences who participated on two days.
Every guest who invited from overseas countries made an excellent presentation, and we also get a special experience from the voice of leaders in Tohoku area.
In the conference, all three sessions and panel discussion could have the worthful conclusion through the two days argument. We believe that two days discussion was able to deepen the value of our key concept, "Indigenous Initiatives for Various Type of Human/Natural Disaster".
At the excursion for Miyajima and Peace Memorial Park, we could exchange many special conversations and feelings. It was a wonderful experiences for us.
Thank you very much for all those things. We also ask you to be granted same concern to the next HiPeC's activity.
Sincerely.
From all HiPeC staff.
2011.09.22
ハイペック研究員Bです。
去る7月30日に行われました京都大学現代インド地域研究センターの「KINDAS研究グループ2・第4回現代インド人類学セミナー」は、予想以上の大盛況でした。
近畿圏のチベットがらみの研究会ではほぼベストコンディション、と思われる充実した聞き手の方々が居並ぶなか、みっちり4時間を超える時間を贅沢に使って、現代チベットのボーダー・スタディーズをめぐる議論が繰り広げられました。
以下のサイトにそのショートレポートが出ております。
興味・関心をお持ちのかた、ぜひお目通しください。
http://www.indas.asafas.kyoto-u.ac.jp/kindas/article.php/20110730_ja
それにしても、チベットの話題だけで4時間超も、テンションを落とすことなくみっちりと議論できたのは、これが生まれて初めてではないかと思います。貴重な機会を与えていただいたKINDASの方々に厚くお礼申し上げます。
(研究員B)
〔飼い主からの一言〕ハイペック(広島大学平和構築連携融合事業)は、広島大学の基本理念である「平和を希求する精神」を具体的に追及するため、オール・ヒロシマ体制で平和構築支援の研究を推進します。マスコットキャラクターの平和構築猫「ピー助(Peace-Ke)」ともども、なにとぞよろしくお願いいたします。